ここでは、お歳暮のマナーについて説明します。 お歳暮の時期と言えば12月上旬~12月20日頃です。お世話になった方に感謝の気持ちを込めたり、またこれからもよろしくお願いしますという気持ちをこめて贈るのがお歳暮です。もともとお歳暮と言えば、以前はお世話になった人に贈るものが中心でしたが、近年では社会生活を営む上でお世話になった人だけでなく、親愛の情を込めて友人・知人や親族にも贈るお歳暮へと少しずつ変化してきました。 このページでは、お歳暮の由来と意味や、お歳暮のマナーとのしについて、お歳暮を贈る時期や、つい忙しくてお歳暮の時期を過ぎてしまった場合のマナー、御歳暮のギフトの選び方などについて説明しています。 |
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お歳暮という言葉は、もともとは年の暮れ、年末(歳暮=さいぼ。せいぼ)という意味を表わす言葉でした。日本にしかない「お歳暮」という慣習は、お正月に祖霊(先祖の霊)を迎え御魂祭りの御供え物や贈り物をした日本古来の習わしが、起源とされています。嫁いだり、分家した人が親元へお正月になると集まり御供え物を持ち寄ったのが始まり。そこから毎年、年の暮れになると、一年間にお世話になった人に贈り物を持参してまわる習慣ができ、これを歳暮回り(せいぼまわり)と言うようになり、やがて、贈答品そのものを「御歳暮」と呼ぶようになり、現代に至っています。 かつては、お歳暮に使う品は年越しに必要な御供え物を贈ることから、塩鮭、塩ぶり、数の子、するめ、もちなど食料品を送る風習でした。現代ではそういうことにはこだわらず、さまざまな品物が贈られていますが、昔は新年の準備を始める12月13日から20日までに贈られたそうです。今では、日ごろお世話になっている方々への年末のあいさつになり、贈答儀礼に変わりつつあります。
お歳暮は訪問して直接相手に渡すのが原則ですが、現在は直送品を贈る方がほとんです。お歳暮はお中元と同じように、日頃お世話になっている人へのお礼であり、お祝いではありません。なので、もらった場合は、お返しの必要はありません。
お歳暮を贈るときに大切なのは、贈る相手のことを考えて品物を選ぶことではないでしょうか。季節感を考えることはもちろんですが、相手のことをよく知っておくことは重要です。最近は健康に気を配った食品をお歳暮ギフトに選ぶ人が増えています。こうした気配りが品物の値段ではなく、気持ちがあらわれるお歳暮になるのです。お歳暮の予算は、一般的に3,000円~5,000円くらいですが、特に決まりはありません。金額よりも感謝の気持ちが重要です。お歳暮を贈るとき、相手がどんなものをもらったらうれしいか考えることが、相手に喜ばれる品物選びで重要だと思います。あなた自身がその美味しさ、良さをぜひ先方に味わってほしいと思う品をや先方のために特別に取り寄せた珍しいものもオススメです。
また、お歳暮の品物選びで重要なのは、受け取る側の負担にならないようにすることです。あまり高価なものを贈りすぎても、気を使わせてしまいます。そういう意味でも、普段使いできる品物を贈るのがお勧めです。
お歳暮は、ちょっとしたものでも心遣いが伝わります。相手の喜ぶ顔を想像しながら選ぶことは楽しいですし、日々、商品の知識や情報を集めておくと、役立つはずです。贈るという行為そのものを楽しんでください。
お歳暮は感謝の気持ちを伝えるものなので、誰に贈らなければならないと堅苦しく考える必要はありません。一般的には、勤務先の上司や恩師、離れて暮らしている両親などに贈るケースが多いようですが、会社の場合、社内のルールや慣習がある場合が多いので、まずは周囲に確認しましょう。その他、日ごろお世話になっている主治医や、お稽古ごとの先生に贈るケースも。仲人や媒酌人については、一つの目安として3年間は贈るべきとされています。
また、お歳暮はお中元と同じくお祝い事ではありませんので、先方が喪中のときでも贈って差し支えありません。ただし紅白の水引はかけず、白無地の奉書紙か無地の短冊を使って、表書きは「お歳暮」とします。
また先方にご不幸があったばかりで49日も明けていないような場合には、お贈りするのは忌明け後(四十九日以降)にしたほうがよろしいでしょう。忌明け後まで待つとお歳暮の時期を逃してしまう場合には、松の内(一般的には1月7日。地域によっては1月15日)が明けてから、「寒中見舞」としてお贈りします。
尚、ご自分(贈り主)が喪中の場合には、先方に不幸があったわけではありませんので、普段通りお歳暮を贈っても結構です。 ただ相手先によっては、死を「穢れ」と考え、喪中の人(「穢れ」のある人)からの贈り物を気にすることもあります。その場合にはやはり四十九日を過ぎてから水引を掛けずにお贈りします。
お歳暮は季節のあいさつなので、贈るタイミングをはずさないように。正式には「事始めの日」というお正月をお祝いする準備を始める12月13日から12月20日までに贈るものでしたが、現在では11月末頃から贈られる方も多いようです。 また、関東では12月初旬から12月31日、関西では12月13日から12月31日までとされていますが、暮れも押しせまった忙しい時期に届いても迷惑なので、できれば20日くらいまでが無難。お正月用の生鮮食料品を贈る場合は反対に遅めの方が親切です。
お歳暮にはのし紙をつけます。書き方は水引の結び目の中央上に「御歳暮」と書き、中央下にやや小さく名前を書きます。
12月26日以降になると「謹賀新年」が「寒中見舞い」になるのと同様に「お歳暮」が「御年賀」「寒中御見舞い」となるのが正式マナー。お正月用品を贈るのでしたら年内ぎりぎりに間に合うように「お歳暮」でも大丈夫です。
年内に間に合わなかったら関東地方では1月7日(松の内)までに、関西地方では15日までに表書きを「御年賀」として届くように。さらに遅れた場合は、松の内がすぎてから立春(2月4日頃)の間まで「寒中お伺い」や「寒中御見舞い」として贈ります。
また、特に大切な方に、歳暮期を少しずらして贈り物をする場合も、1月の寒に入ってから立春前までは『寒中御伺い』『寒中御見舞』などの表書を使い心のこもった贈り物をするのも親交を深めるのもよいでしょう。
「お世話になった人に贈る」という性質上、目上の方に贈る場合が多くなるはず。その場合、「踏みつける」という意味を持つ履物類や、勤勉であることを奨励する意味を持つ時計、筆記用具類は避けた方が無難でしょう。
以上がお歳暮のマナーです。1年の締めくくりの意味を込めて、日ごろの感謝の気持ちを表すしきたりがお歳暮です。伝統的なマナーを押さえ、贈ること自体を楽しみましょう。